時代はAIだ、IoTだと騒がしい。そしてこれらの技術革新が不動産の世界にも及ぶだろうということで最近では「不動産テック」なる造語まで登場してメディアを賑わせている。

 こうした議論が起こると必ず面白おかしく取り上げられるのが、その業界で生きている人たちの仕事が消滅し、大量の失業者が生じるというネガティブな話だ。銀行員はそのほとんどが業務を失い、リストラされる、あるいは税理士業務のほとんどはAIにとってかわられるだろうなど世の中は物騒な話でいっぱいだ。

度胸のある体育系が重宝されきた不動産業界

 さて不動産の世界では何が起こるのだろうか。不動産という商品はこれまで「グローバル化」とか「技術革新」といった世界とは全く無縁の存在だった。また不動産は読んで字のごとく「動かせない」商品であることから、常にドメスティックな存在であり、国内の多くの業界が直面したグローバル化の波からも一歩距離を置くことができていた。

「グローバル化」という言葉に縁のないシーラカンス的存在だった不動産業界 ©iStock.com © 文春オンライン 「グローバル化」という言葉に縁のないシーラカンス的存在だった不動産業界 ©iStock.com

 私が不動産業界に入ったころは、不動産会社に入る学生はおおむね「算数できない、英語できない」というのが通り相場だった。つまり不動産を扱うにはごちゃごちゃ理屈を並べるのではなく、必要なものは度胸とドタ勘だけ。不動産はいわば「とったもの勝ち」で、不動産価格は勝手に右肩上がりで上昇するものであるから体育会でみっちり鍛えられた、力があって勝負勘の強い学生が珍重されたのである。

 だが、このシーラカンスのような存在だった不動産業界にも2つの大きな流れがやってきた。ひとつが不動産の証券化による金融マーケットとのつながりであり、もうひとつがAIやIoTに代表される技術革新だ。

「算数できない、英語できない」でもOKだったのも今は昔

 不動産の証券化は、不動産を金融という技術を使ってペーパー(証券)化することによって、不動産をよく知らない素人でも扱うことができる金融商品に仕立て上げることに成功した。不動産はそれまでは完全な玄人マーケットだったのである。つまり、一部の不動産会社やたまたま広い土地を所有していた地主が金融機関からおカネを借りてビルやマンションを建設し、テナントに貸し出すというのがビジネスモデルだったのだ。

 ところがこれを金融商品にすることによって、世界中の投資家のおカネを集めてきて中古の不動産に投資をさせる、開発して新しいビルやマンションを建設するための資金を調達することが可能となったのだ。またREITに代表されるように多くの不動産が証券化されて、一口数万円で誰でもが不動産オーナーになる道が開けたのである。

 こうした革命を通じて、これまで不動産業界人は「算数できない、英語できない」人間でも勤まったのが、緻密な収支計算のもとで利回りを算出して投資家に配当しなければならなくなり、外国人投資家には英語で彼らが興味を示す不動産の説明をしなければならなくなったのだ。

旧態依然とした業界にも不動産テックの荒波が押し寄せる

 金融マーケットという日々変動するマーケットに翻弄され続けてきた不動産業界に、さて次なる革命の波が襲いかかってきている。不動産テックの波である。

 不動産取引においては売買する場合でも賃貸する場合でも、不動産会社には重要事項説明という行為が必要になる。重要事項説明とは取引に際して重要と思われる項目について、宅地建物取引士の資格を持つ者が、関係者の面前で説明をしなければならないもので、取引する人が遠隔地に住んでいても実際に足を運んで説明する必要があった。

 スカイプなどが発達した現代においてこうしたシーラカンスのような業界のルールは、とりわけ日本の不動産を外国人が買い求めるようになると取引上での大きな障害として指摘されるようになった。

 国もようやく昨年の10月から賃貸仲介に限ってネット上での説明を認めるように法律の一部を改正したが、売買についてはまだ慎重な姿勢を崩していない。

ヤフーやソニーが業界に殴り込み

 またネットを通じて不動産を売りたい人、買いたい人をマッチングさせる動きも活発になってきた。ヤフー不動産やソニー不動産などはマンション取引を主体に売主の仲介手数料ゼロを売り文句に不動産業界に蔓延る手数料主義、売り手と買い手を同時に囲い込む両手取引に殴り込みをかけてきている。

 不動産は「二つとして同じものが存在しない」という特殊な商品であることから取引も複雑であり、こうしたネット上のマッチングを含め、ネット取引全般に対して否定的な見方をする人もあるが、私は不動産テックが今後不動産取引を活発化させることにおおいに役立つのではないかと期待している。

 とりわけマンションの中古流通はネットに馴染みやすい。マンションの部屋は戸建て住宅などと違って、間取りも単純で住戸内の設備仕様を点数化しやすい。また同じ棟であれば建物としての条件がほぼ同じであるため、価格付けが容易である。大規模マンションであれば常に複数の住戸が流通マーケットで取引されていることからすでに相場も形成されていることもネットに馴染みやすい理由のひとつだ。

都内の主要マンションすべてをAIで診断しようとするネット業者

 先日、私の事務所を訪れたネット業者の相談には仰天した。彼らの構想は都内の主要マンションのすべてを、AIを使って診断し、住戸別に勝手に値付けして公表しようというものだった。これまでの中古市場は間にたつ不動産業者が経験と勘を頼りに勝手に値付けして取引相場を作ってきた。それに対してAI診断マーケットでは、自分が住むマンションの現在価格が毎日株価ボードのように掲示され、それを見た買い手が所有者にアプローチできるというのが彼らの考えた仕組みである。

 マンション相場が上昇期であれば、毎日自宅の含み益が上がるのをニンマリ眺めて楽しむこともできるが、下がっているときにはさぞかし気分が悪いだろうと当初はこのアイデアにはあまり賛同できなかったが、どうだろうか。意外と多くの人が実は自分が住んでいる自宅の本当の資産価値を知らないのが現実だ。上がっているときも下がっているときも常に冷静に自らが持つ不動産の価値を目にすることができれば、売買や賃貸もスムースに決断できるのではないだろうか。また診断技術が上がれば、自宅にしっかりとお金をかけてリニューアルを行うことでお隣の住戸よりも高く評価されることを実感できるかもしれない。不動産テックが不動産の流通市場をおおいに活性化させることにつながるかもしれないのだ。

今度は金融マンがAIに追いつめられる

 さて、不動産の証券化の進展で「算数できない、英語しゃべれない」不動産社員を追いやり金融マンが席巻した不動産業界で、今度は彼らがAIに追いつめられることになる。

 将来不動産業界を闊歩するのは、金ぴかブレスレットに派手なラメ入りのスーツを着た地上げ親父でも、眼鏡をかけた、痩せて神経質そうな金融マンでもなく、理科系ネットオタクで日本語もしゃべれるのか怪しいような種族が開発したAIになっているのかもしれない。不動産新時代の到来である。

韓国、北朝鮮に対する防衛力強化が必要=文大統領 © REUTERS 韓国、北朝鮮に対する防衛力強化が必要=文大統領

[ソウル 6日 ロイター] - 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は6日、北朝鮮との対話を行う中でも、北朝鮮の核ミサイル開発に対応するため、韓国軍は防衛力の強化に全力を注ぐべきだとの見解を示した。

大統領は軍の式典で演説し「朝鮮半島の非核化に向けて北朝鮮と対話する必要がある」と述べた。その上で、北朝鮮の核ミサイル開発を受け、防衛力を迅速かつ効果的に強化することに全力で取り組むべきだとした。

また米韓間の共同防衛体制を一段と発展させる方針を示した。

 日本のメダルラッシュに沸いた平昌五輪。次は2020年、東京五輪だ。早速いい予感がしてきた。不発続きの男子マラソンで日本新記録。いよいよ新世代のお出ましだ。

*  *  *

2月25日に行われた東京マラソンは、16年ぶりの日本記録更新に沸いた。西新宿の都庁前から東京駅前までの42.195キロで争われたレースで、設楽悠太(26、ホンダ)が日本新となる2時間6分11秒をマーク。昨年の同大会でフルマラソンにデビューしたかつての箱根のスターは日本勢最高の2位に入り、2002年に高岡寿成(47、現カネボウ監督)が作った記録(2時間6分16秒)を5秒更新した。

独自の調整法を貫き、東京マラソンで日本新を出した設楽。長く低迷していた日本陸上男子長距離界にとって歴史的なレースとなった (c)朝日新聞社 © dot. 独自の調整法を貫き、東京マラソンで日本新を出した設楽。長く低迷していた日本陸上男子長距離界にとって歴史的なレースとなった (c)朝日新聞社

16年のリオ五輪には1万メートルで出場し、昨年、ハーフマラソンの日本記録(1時間0分17秒)も樹立した設楽は、3度目のフルマラソンでハーフとフルの両種目で日本記録を同時に保持する選手となったわけだ。

 設楽には主催者からの賞金のほか、日本実業団陸上競技連合からボーナス1億円が支給。その額からも、今回の記録更新がいかに待望されていたかが分かる。

 実は昨年から東京マラソンは、それまでの東京の名所を回るコース設定から、高低差をなくした“高速コース”に変わった。ただ、好タイムが生まれた理由はそれだけではない。設楽に更新されるまで、長く日本記録を保持していた高岡は、こう話す。

「記録は気候やライバルの出現、レースのペースや体調など、様々な要因が一致した時に出るもの。今日の設楽くんは、(終盤までライバルの)井上くんが前を走っていたほか、(長い時間)先頭グループでレースができたことが良かったのでは」

 レース当日は気温が6度、湿度40%というマラソン日和。昨年の同大会を2時間3分58秒で制したウィルソン・キプサング(35、ケニア)が途中棄権したことも影響し、先頭グループのペースが上がり過ぎることもなかった。全体5位で日本人2位に入った井上大仁(25、MHPS)の存在も設楽をあと押ししたことだろう。レース後、設楽は「10キロ付近から右ふくらはぎの痛みがあった」としたが、その痛みも序盤から突っ込み気味だった過去のレースを踏まえると、結果的には自重するいいきっかけになったといえるかもしれない。

 もちろん日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦(61)も「常識では考えられない」と話す設楽独特の調整法が実ったともいえる。

 その飄々とした性格は練習法にも表れ、通常のランナーはレース前に40キロ走などを取り入れ距離を踏むものだが、「僕は30キロ以上の距離走はやりません」と自らの考えを貫く。

 2月4日に丸亀国際ハーフ(日本人1位)、11日に唐津10マイルロードレース(1位)を走るなどして連戦の中で調整。勝負勘を磨くため、レース数を意識的に増やしたという。

「こだわったのはタイムよりも勝負。レースに出たことで勝ち癖もついた」

 今年の東京マラソンは設楽のほか、井上が2時間6分54秒で2時間7分を切るなど、なんと計9人もの日本人選手がサブ10(2時間10分切りの意)を達成してもいる。瀬古は上機嫌で言う。

「昔は宗(茂・猛)兄弟に私や中山竹通をはじめ、森下広一や谷口浩美がいた。ライバルがいたことで、切磋琢磨できた。(昨年12月の福岡国際マラソンで2時間7分19秒で走った)大迫くん(傑、26、ナイキ・オレゴンプロジェクト)も、今回の結果に負けじと、タイムを縮めてくるでしょう」

 この日は過去最多のメダル獲得で日本の強さを示した平昌五輪の閉幕日。長く低迷していた日本男子マラソンが、20年東京五輪に向けて復活の狼煙をあげてあとに続こうとしている。(文中敬称略)

(スポーツライター・栗原正夫)

※AERA 2018年3月12日号

世代別代表を経験してきたウンデルは'16年11月にA代表デビューも果たしている。佳境を迎えるCLでも台風の目になれるか。 © photograph by Getty Images 世代別代表を経験してきたウンデルは'16年11月にA代表デビューも果たしている。佳境を迎えるCLでも台風の目になれるか。

 突拍子もないことや予期せず起きてしまったことを伝えたいとき、イタリア語には「トルコ人の仕業だ(=fare cose turche)」という言い回しがある。

 語源は、1453年のコンスタンティノープル陥落に遡るらしい。東ローマ帝国を滅ぼしたオスマン帝国は西欧世界にとって忌むべき脅威となり、“東方トルコの民侮りがたし”という教訓が生まれた。

 晩冬のセリエAでも、トルコの若武者たちが来季のCL出場権争いを沸かせている。ローマのFWウンデルとミランMFチャルハノールだ。冬季休暇明けから、見違えるように躍動する彼ら2人は、上り調子でそれぞれのチームの攻撃を活性化させ、今やローマやミランの主力に成り上がった。

 昨年からトルコ代表監督を務める名将ルチェスクが彼らへかける期待もすこぶる大きい。

「ウンデルはシーズン当初の重圧を乗り越えた。気迫と獰猛さが加わったチャルハノールはゴール前で頼もしい」

 この冬、ローマとミランの結果を伝える試合翌日の新聞紙面では、冒頭の言い回しが何度も使われた。

 してやったり。伝統国に挑む若い2人は大きな手応えをつかんでいるはずだ。

ウンデルは6戦6得点1アシストと絶好調。

 現在、セリエAの3位争いはローマ勢とインテルによる三つ巴の状態が続いている。

 27節で首位ナポリとの大一番に挑んだローマは、敵地でまさかの4ゴールを上げる大勝を収め、頭1つ抜けだした。

 先制したのはナポリだったが、わずか1分後に仕掛けたカウンターでFWウンデルは冷静に同点弾を奪い、逆転勝利の口火を切った。

 独特の間合いがある。ドリブルを一気にトップスピードにのせ、右サイドから相手ゴールを陥れる。

 直近のナポリ戦まで公式戦6試合で6得点&1アシストの大当たり。あどけない童顔の弱冠20歳ながら、指揮官ディフランチェスコも攻撃の起爆剤としての働きぶりを大いに称えているのだ。

大外れのウチャンを思い出す低調さ。

 昨夏、バシャクシェヒル(トルコ)から永遠の都へやってきたウンデルは、異国への順応に苦しんだ。

 イタリア語がわからなくて、練習メニューが理解できない。猛者揃いのチームメイトたちに“1周遅れ”でついていくのがやっとだった。

 日本でいえば高卒2年目の若手が、昨季の攻撃の中心だったFWサラー(現リバプール)の後釜として移籍金15億円以上を支払われて獲得されたのだ。プレッシャーを感じないはずがない。前半戦11試合に出たが得点の気配すらなかった。

 ロマニスタたちは「どうやらウチャンと同類か」と嘆き始めた。

 もうほとんどの読者の記憶から抜け落ちていると思うが、MFウチャン(現シオン)はトルコ代表として'14年夏にフェネルバフチェから鳴り物入りでローマに入団。しかし在籍2年で出場7試合0得点に終わり、ロマニスタには“近年稀に見る移籍市場の失敗例”扱いされている。

指揮官はウンデルの才能を信じ続けた。

 だが、指揮官ディフランチェスコはウンデルのイタリア語習得を見守りながら、辛抱強くトップチームで使い続けた。

「『ユース選手を引き上げて使った方がいい』という外野の声もあるが、彼には才能があり、個別指導をする価値があると思った。口を酸っぱくして、仕掛けるタイミングやポジショニングを教えこんできたつもりだ」

 チームの低調と中盤の故障者続出を受け、戦術を4-2-3-1へスイッチした23節ベローナ戦に先発したウンデルは、試合開始43秒で先制点を奪い、これが結果的に決勝ゴールとなり、ついに壁を破った。クラブ史上初のトルコ人選手によるゴールは、6試合勝ちに見放されていたチームへ再び火をつける一撃だった。

 続くベネベント戦で2得点と大暴れした際、ウンデルは軍隊式の敬礼ポーズで物議を醸した。

エルドアン大統領からの激励が……。

 今、母国トルコを取り巻く国際情勢はきな臭い。強権のエルドアン大統領は、シリア侵攻によって西欧社会からの批判を浴びている。

 ウンデルの敬礼は、クルド人武装勢力との軍事衝突によって戦死した同胞のトルコ軍兵士たちを悼むもので、ウンデルはたちまち本国の愛国主義者たちのアイドルに奉られた。

 ローマ移籍が決まった際、ウンデルはエルドアン大統領から直に激励の電話をもらって祖国への忠誠心をより強くしていたが、イタリアにあっては若い彼が現トルコ政権のプロパガンダに利用されているのでは、という疑念も生じた。

 誤解と雑音を避けるため、25節ウディネーゼ戦以降、敬礼は封印した。だが、ウンデルは得点することは止めなかった。

「ここに来てから最初の数カ月は本当に苦しかった。ようやくイタリア語がわかるようになって、戦術的に求められていることが理解できるようになった。2月以降、自分が別人になった気分だよ」

 難敵シャフタールに逆転負けを喫したが、CLデビュー戦でも先制ゴールを奪った。サイドアタッカーとして覚えなければならないことはまだ山程あるが、伏し目がちで奥手気味だったウンデルはもういない。

チャルハノールを復調させたガッドゥーゾ。

 もう1人のトルコ人選手であるMFチャルハノールは、出自もキャリアもウンデルとはまったく異なる。

 しかし、昨夏のミラン入団以降、4歳年下のウンデル同様にチャルハノールも前半戦の不調に苦しんだ。

 前監督モンテッラの起用法が定まらず、筋肉系の故障に苦しみ、自分のプレーを見失った。チームは迷走し、一時は11位にまで順位を落とした。

 再起のきっかけは、昨年12月に就任したガットゥーゾ新監督だった。希望していた4-3-3の3トップ左に置かれたチャルハノールは水を得た魚のように正確なサイドチェンジで相手を崩し、右のFWスソとクロスを打ち合いながら、チームのゴールを手繰り寄せた。

「まるで脚が4本あるようだ!」

 今季王者ユベントスを破るなど例年にない好調ぶりで欧州カップ戦出場圏をキープし続けるサンプドリアを1-0で下した25節で、ミランはついに6位タイにまで浮上した。今年に入って負けなしの彼らは、一気に4位以上のCL出場圏まで視野に入れる。

 サンプ戦でのチャルハノールは得点にこそ絡まなかったものの、クロスバー直撃のシュートを打ったかと思えば、フィニッシュ役のミスさえなければゴール確実という絶妙クロスを連発するなど大活躍。現地紙は「甘いタッチの5mのショートパスもゲームの趨勢を変える40mのロングパスもチャルハノールは自由自在」「まるで脚が4本あるようだ」と大絶賛した。

 期待通りの働きを見せるようになったミランの新10番。新監督ガットゥーゾは「走れる脚を取り戻した」と武骨に褒める。試合後、己の手をバチバチ言わせながら手荒く祝福するのは、監督がチャルハノールを一人前の男だと認めているからだ。

ロシアW杯出場はならなかったが。

 ドイツ西部マンハイムにトルコ移民の子として生まれたチャルハノールは、サッカー選手としては完全にドイツ流を仕込まれた。同じく移民の出自ながらドイツ代表を選んだMFエジル(アーセナル)と違い、チャルハノールは父祖の地のユニフォームを着ることを選んだ。

 チャルハノールもウンデルも指導した前U-21トルコ代表監督アブドゥラー・エルカンは、伊紙インタビューで「2人のプレースタイルはまったく異なるが共存は100%可能だ」と彼らの未来を楽観している。

「チャルハノールにはプレーの素早い判断能力と広い視野があり、ウンデルには速さと決定力がある。特にウンデルはそう遠くないうちにビッグクラブへ行くはずだ」

 トルコ代表は'02年日韓大会以来、W杯本大会出場が叶わない。ただし、ウンデルが24歳、チャルハノールが28歳で迎える4年後のカタール大会出場は、トルコにとって絶対に逃してはならないチャンスになるはずだ。

政界転身したハカン・シュクルが逮捕!?

 セリエAでプレーしたトルコ人選手の源流は'50年代に遡る。

 ガラタサライで長くエースを務め、トルコ代表歴代最多得点記録を持つ名FWハカン・シュクルは、2000~2002年にかけてインテルやパルマでもプレーした。

 引退後、政界に転身した彼は反エルドアン派代議士として活動してきたが、'16年夏に起きたクーデター未遂事件関与の疑いで逮捕されるなど数奇な道を歩んでいる。トルコでは熱と闇が渾然一体となっている気がしてならない。

 オリンピコ・スタジアムでの26節で、ミランはローマを相手に2-0で完勝を収めた。

 セリエAで実現した“トルコ・ダービー”で、MFチャルハノールは気合の入ったプレーぶりで何度も完璧なクロスを放った。若いウンデルは不発に終わり、さすがに息切れしたかと思われたが、翌週にはナポリ相手に一撃を決めて心底驚かされた。

“トルコ人には用心せよ”。

 数百年の時間が詰まった言い回しは本当だった。

 ローマとラツィオ、インテルとミランにサンプドリアまで加わって大混戦になりそうなCL出場権争いを制するのは、オスマントルコの末裔たる若武者2人かもしれない。

 昨シーズン、6年ぶりの最下位に沈んだロッテ。5位の日本ハムとは5ゲーム差ながら、チーム打率、本塁打、得点、防御率、失点は全てリーグ最低の数字に終わり、まさに屈辱のシーズンとなった。その結果、4年間指揮を執った伊東勤監督は辞任し、現役を引退したばかりの井口資仁が新監督に就任。一軍の首脳陣も小林雅英投手コーチ以外は全員が入れ替わることとなった。そんな新生ロッテが昨年までとはどのような戦いを見せるのか、上位進出のカギを握るプレイヤーは誰なのか、シーズンオフの補強とキャンプ、オープン戦での戦いぶりから展望した。

 オフに補強したのは新外国人の投手三人と野手二人。内野手のドミンゲスはメジャー通算42本塁打の実績があり28歳と若さもあるが、他の四人はマイナーリーグ生活が長く、外野手のペゲーロも昨年はBCリーグの富山でプレーしテストを経て入団したという経緯を見ても、大型補強と呼べるものではない。日本人選手でもソフトバンクを戦力外になった大隣憲司の実績が目立つ程度である。もともと大物外国人やFAで選手を獲得する球団ではなく、新監督が就任したとしてもその方針は変わらないという印象だ。

 補強で唯一変化が見られた点はドラフトでの指名である。ロッテのドラフトは伝統的に投手の大物はそれなりに指名しても、野手の大物は避ける傾向が強く原辰徳、岡田彰布、清原和博、松井秀喜、中田翔といった目玉と言われた野手に入札していない。ちなみに、ロッテの日本人選手でシーズン30本塁打以上を記録したのは落合博満(1986年・50本塁打)が最後であるが、大物野手から逃げ続けた結果と言えるだろう。

ロッテ・井口監督 (c)朝日新聞社 © dot. ロッテ・井口監督 (c)朝日新聞社

 しかし、昨年のドラフトでは清宮幸太郎を指名し抽選では外れたものの、二度目の入札で投手に逃げることなく超高校級スラッガーの安田尚憲を指名し、見事に当たりくじを引いてみせたのだ。安田はパワーだけでなく技術の高さも備えており、打者としてのスケールの大きさは清宮にも引けを取らない。そして井口監督はキャンプから安田を練習試合、オープン戦でも積極的に起用し、中心選手に育てようという意欲が感じられる。今シーズンの戦力として計算することは当然難しいが、チームの将来を考えると安田の存在は大きなプラス要素と言えるだろう。

 今シーズンの戦力という意味で安田以上に大きいのが2位で入団した藤岡裕大である。亜細亜大時代は東都大学リーグで通算104安打をマークし、社会人でも層の厚いトヨタ自動車で一年目から主力として活躍した実力者だ。社会人時代の打撃に関しては同じトヨタ自動車の先輩である源田壮亮(西武)よりも確実に上であり、新人王の有力候補であることは間違いない。昨年なかなか固定できなかったショートに打力と走力のある藤岡を固定することができるだけで、大きな戦力アップと言えるだろう。

 他の内野陣はセカンドに昨年終盤に長打力を発揮した中村奨吾、サードに安定勢力の鈴木大地、ファーストに新外国人のドミンゲスが入ることが既定路線だが、将来を考えると数少ない高校卒の若手である平沢大河や香月一也の抜擢も期待したいところだ。外野手は実績のある角中勝也、荻野貴司、清田育宏、伊志嶺翔大、岡田幸文が今季中に全員30代となり、上積みが期待できるのは、今年27歳になる加藤翔平くらい。悪いメンバーではないが、将来を考えるとここでも若手の抜擢がほしいところ。その第一候補になるのがドラフト4位ルーキーの菅野剛士だ。大学時代には東京六大学歴代最多記録となる28本の二塁打を放っており、広角に打ち分けるバッティング技術の高さは見事。東海大相模、明治大、日立製作所とアマチュアでは常に名門でプレーしてきただけに、守備と走塁のレベルも高い。藤岡もそうだが、大学、社会人を経て入団した選手はすぐに中堅、ベテランとなるため、ぜひ選手としての“旬”を逃さないような起用をしてもらいたい。

 一方、投手陣はFAでメジャー移籍を目指した涌井秀章が残留したことが大きい。先発は涌井、石川歩、唐川侑己、二木康太が中心で、復活を目指す西野勇士、ともに二年目の佐々木千隼と酒居知史、新戦力のボルシンガー、大隣らがローテーションを争う。リリーフは内竜也、益田直也、大谷智久、松永昂大、有吉優樹の5人に新外国人を加えた陣容が予想される。こうして名前を並べてみるとそれなりに実績のある中堅選手はいるが、万全の柱と呼べる存在となると誰になるかが見えてこない。また、今後大化けが期待できるような若手が見当たらず、数年後の将来像はかなり不安な状況と言えるだろう。

 野手陣、投手陣、ともに言えることは、今年それなりに戦えるチーム力はあるものの、上位球団に比べると全てのポジションで弱さが目立ち、それ以上にチームの将来像が見えてこないということである。こういう状況の中で井口監督に参考にしてもらいたい例がある。

 それが阪神で金本知憲監督が過去2年間で行った抜擢と戦力の見極めである。金本監督が就任する直前の阪神は投手では藤浪晋太郎、野手では梅野隆太郎という若手はいたものの、完全に外国人とベテラン頼みのチームだった。しかしそこから“超変革”をスローガンに掲げ、投手では秋山拓巳、岩貞祐太、岩崎優、野手では高山俊、北條史也、中谷翔大、大山悠輔などを一軍の戦力に引き上げることに成功。今シーズンもキャンプから高校卒2年目の才木浩人が抜擢されるなどその流れは続いているのだ。

 ロッテは阪神ほど注目度が高くなく、昨年がどん底の成績だったことを考えると、大胆な改革を行いやすい土壌はできている。チームを根本から立て直すためにも、井口監督にはファンも評論家もあっと言わせるような思い切った改革を行ってもらいたい。(文・西尾典文)

●プロフィール

西尾典文

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

インスタグラムより@yutonagatomo55 © スポーツ報知/報知新聞社 インスタグラムより@yutonagatomo55

 イタリア1部インテルからトルコ1部の名門、ガラタサライへ期限付き移籍をした日本代表DF長友佑都(31)が6日、自身のインスタグラムを更新し、生後1か月を迎えた長男との写真を公開した。

 妻で女優の平愛梨(33)が2月5日にイタリアで出産。長友はトルコにいたため、テレビ電話で「愛梨ガンバレー!」と応援したという。この日はイタリアに戻ってきたようで、長男を抱いてミルクを飲ませる姿をアップ。「成長早いなー。生後1ケ月でこんなにも変わるのか」と驚きを明かし、「離れるの寂しいなー。ファンモンのヒーロー聴きながら帰ります。笑」と離れがたい気持ちをつづった。

 長友はイタリアとトルコを往復する日々を送っており、平も自身のSNSで「主人のいない家を守らなきゃ」「どうしたって離れてる寂しさは埋められない。だけど、会える!ということを目標にすると身も心も変えられるのかもしれないね」などと心境を明かしていた。

 6日未明、鳥取市叶の国道53号で同市内の市立中学2年の少年(14)が運転する軽トラックが単独事故を起こし、荷台に乗っていた同級生の少年(14)が路上に投げ出された。少年は市内の病院で間もなく死亡が確認された。鳥取県警鳥取署は運転していた少年と、助手席に乗っていた市内にある別の市立中学3年の少年(15)から道路交通法違反(無免許運転)などの疑いで話を聞いている。

 鳥取署によると6日午前4時10分ごろ、近くを通りかかったドライバーが「道に車が置いてある」と110番。署員が駆けつけたところ、前輪などが破損した軽トラックが放置されていた。車内に人はいなかったが、直後に市内の病院から事故で死亡した人がいると連絡があった。運転していた少年と助手席の少年も頭などにけがをして病院にいたため、事情を聴いたところ、事故を起こしたことが分かったという。

 現場は片側2車線の直線道路。【阿部絢美】

フェイクタトゥーのスペルミスを指摘されたエマ・ワトソン(C)AFLO © Hollywood Channel 提供 フェイクタトゥーのスペルミスを指摘されたエマ・ワトソン(C)AFLO

 ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ騒動をきっかけに広がった「MeToo」「Time’s Up」運動。セクハラ行為やそれを黙認する姿勢を糾弾するキャンペーンで、女優を含む多くのハリウッド関係者が支持を表明している。女優エマ・ワトソンも先日、左腕に入れたタトゥーで改めて賛同の意志を表明した。

 現地時間4日に開催された第90回アカデミー賞授賞式。その後開催された雑誌「Vanity Fair」のアフターパーティーに、黒のシックなロングドレスに身を包んで出席したエマ。レッドカーペットに登場すると、左腕に入れた「Times Up」というスタイリッシュな文字のタトゥーを披露したという。Us WeeklyやE!Newsなどの海外メディアが伝えた。

 しかし同時に話題になったのが、そのスペルだ。本来は「Time’s Up」とアポストロフィーが入っており、「スペルミス?」「 意図的に入れなかった?」などとネットで騒がれている。

 実は「Times Up」のタトゥーは本物ではなく、一時的なフェイクタトゥー。エマは「フェイクタトゥーの校正係を求人募集。アポストロフィーの経験必須」とツイートし、自虐的なジョークを交えてスペルミスだったことを認めている。

 イェール大学、ケンブリッジ大学に合格し、最終的にアメリカの名門ブラウン大学に進学して卒業、現在はオックスフォード大学の客員研究員にもなっているエマ。高学歴の才女だが、英語のスペルには意外と自信がないようだ。

© シネマトゥデイ 提供

 約半世紀ぶりの続編となる映画『メリー・ポピンズ・リターンズ(原題)』から初となるティーザー予告編(海外版)が公開された。メリー・ポピンズが再び空からやって来て、すっかり大人になったバンクス家の子供たちも登場する。

 『メリー・ポピンズ』(1964)は、パメラ・L・トラヴァースの小説を基に、魔法の使える家庭教師メリー・ポピンズとバンクス家の人々の交流を描いたミュージカル映画。続編はそれから25年後の大恐慌時代のロンドンが舞台で、大人になったバンクス家の長女ジェーン(エミリー・モーティマー)と長男マイケル(ベン・ウィショー)の前に再びメリー・ポピンズが現れる。

 メリー・ポピンズ役は、ジュリー・アンドリュースから『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のエミリー・ブラントにバトンタッチ。メリーの友人である点灯夫のジャック役は話題のブロードウェイミュージカル「ハミルトン(原題) / Hamilton」のリン=マヌエル・ミランダが務める。コリン・ファース、メリル・ストリープ、ディック・ヴァン・ダイク(オリジナル版のバート役!)らが脇を固め、ミュージカル映画『シカゴ』や『NINE』のロブ・マーシャル監督がメガホンを取った。2019年日本公開。(編集部・市川遥)

川崎博也氏 © 時事通信社 川崎博也氏

 神戸製鋼所は6日、アルミ・銅製品などの品質データ改ざん問題の責任を取り、川崎博也会長兼社長(63)が辞任する方針を固めた。アルミ・銅事業部門長の金子明副社長(63)も退任する。川崎氏は同日午後3時半に東京都内で記者会見を開き、原因や再発防止策を盛り込んだ最終報告書を公表するとともに、経営陣の刷新を表明する見通しだ。

 神鋼は5日の取締役会で、弁護士で構成する外部調査委員会がまとめた調査結果を受け取り、経営陣の責任についても議論した。川崎社長以外の経営幹部の処分も併せて発表する見通し。 

 【ブリュッセル八田浩輔】ドイツで連立政権発足に見通しがついたのもつかの間、欧州連合(EU)懐疑派の右派「同盟」(旧・北部同盟)が躍進したイタリア総選挙の結果は、EUにとって「一難去ってまた一難」と言える。

 EU本部のあるブリュッセルではイタリア総選挙直前、世論調査で過半数に達する明確な勝者が出ない見通しに「勝者はEUだ」との楽観的な見方もあった。主要政党の多くが選挙戦後半に近づくにつれて、反EU色を後退させたからだ。

 イタリアはEUへの支持率が高くないが、有権者の多くがEUや共通通貨ユーロからの離脱までは望んでいないことに各政党が反応した結果とみられた。政党別で首位に立つ見通しの「五つ星運動」は一時、ユーロ圏離脱を問う国民投票の実施の公約を掲げたが、選挙戦後半に反EU色を大きく薄めた。ベルルスコーニ元首相率いる「フォルツァ・イタリア」もユーロと旧通貨リラとの並行通貨を一時提案したが、その後取り下げた。

 だが、結果的に伸長したのは、移民政策で強硬なEU批判を維持した「同盟」だった。「同盟」が今後の政党間協議のカギを握ることになり、連立の行方は複雑化した。

 イタリア有力紙コリエレ・デラ・セラは「(今後)世論調査でユーロやEUへの反感が高まれば、これを利用するのをいとわない勢力が出る」と指摘。「五つ星」が再び反EU色を強める可能性も否定できない。

 昨年3月のオランダ総選挙を皮切りに、フランス、ドイツと欧州主要国で続いた国政選挙も、今回のイタリアでひと区切りを迎えた。いずれの国でもEUに懐疑的な反既成政党が支持を伸ばす一方で、誕生したのは親EUの政権だった。だが、イタリアの連立の組み合わせ次第では、独仏協調で進める統合深化の議論に水を差す可能性もある。

下田美咲 © スポーツ報知/報知新聞社 下田美咲

 エッセイスイトでタレントの下田美咲(28)が6日、昨年、長男を出産し母親になっていたことをブログで初報告した。

 「改めて、ご報告をすると去年の9/13に男の子を出産して一児の母になりました!」とつづった下田は、「そう、もう、かれこれ半年くらい前のこと! なので、もうけっこう大きいあと1週間くらいで生後半年を迎えます」と愛息との2ショット写真を投稿した。

 下田は2016年11月に1歳下のホスト・直也さんと結婚した。

第2戦で活躍した22歳の上林。“稲葉2世”の呼び名の通り、勝負強い打撃を見せてくれた。 © photograph by Kyodo News 第2戦で活躍した22歳の上林。“稲葉2世”の呼び名の通り、勝負強い打撃を見せてくれた。

 ナゴヤドームが満員のお客さんで埋まった。

 稲葉篤紀監督就任後、初めてのフル代表での強化試合。1月には筒香嘉智外野手(DeNA)や柳田悠岐外野手(ソフトバンク)ら主力となる一部メンバーを先行発表してチケットの売り上げを図ったが、そんな必要もなかったという。

「チケットを売り出した直後から売れ行きは好調で、一部メンバーの事前発表をする前にすでにかなりの売り上げがあった。最終的には完売になりましたし、京セラドームも一部外野席が当日売りになりましたが、それでもほぼ完売に近い売れ行きでした」(NPBエンタープライズ関係者)

 中日の低迷でここのところついぞスタンドが一杯になるところは見たことなかったナゴヤドームが満員札止めとなり、京セラドームもファンで膨れ上がった。

 曲がりなりにも侍ジャパンが商売として、成り立ち始めているというのが、球界にとっての今回の強化試合の1番のニュースだったかもしれない。

 その満員のファンの中での豪州相手の2試合。フル代表とはとても言えない相手だけに、格の違いははっきりしていた。

千賀、筒香ら投打の主役は揺るがない。

 第1戦は千賀滉大投手(ソフトバンク)がいきなり6連続三振でスタンドを沸かせ、その後も今永昇太(DeNA)、東浜巨(ソフトバンク)、田島慎二(中日)、岩嵜翔(ソフトバンク)、山崎康晃(DeNA)と6人の投手で16個の三振を奪っての完封劇。

 打線も6回に秋山翔吾外野手(西武)の四球と送りバントの1死二塁から3番・柳田の中前タイムリー、4番・筒香の右越え二塁打と主軸打者の期待通りの活躍で2点を奪っての勝利だった。

 一方の第2戦は柳田、筒香、浅村栄斗内野手(西武)のクリーンアップは無安打だったが、2番に抜擢された松本剛外野手(日本ハム)が2安打3打点、9番の今宮健太内野手(ソフトバンク)や昨年のアジアプロ野球・チャンピオンシップから続けて招集された上林誠知(ソフトバンク)がマルチの2安打と活躍。

 投手陣でも昨年に続いての招集となった堀瑞輝(日本ハム)と石崎剛(阪神)に初招集の高梨雄平(楽天)、がそれぞれ1回を無失点ピッチングを見せている。

いかに伸びしろのある若手を見出すか?

「今回の選手を軸にしていきます。その中で今年、若い選手が活躍して、トップチームに集合したときにどうやって国際大会で活躍するかを見てみたいという選手は呼びたいと思います」

 2試合を終えた稲葉監督は2020年の東京五輪に向けたチーム作りをこう説明した。

 千賀の快投や柳田、筒香の勝負強さは、改めて見るまでもない。それよりもこれから2年間で代表の中心になるだろう伸びしろのある選手をいかに見つけ出して、経験を積ませるか。

 今の侍ジャパンの強化試合の意味は、まさにそこにあるはずだ。

 そういう意味では引き締まって見応えのあった第1戦も面白かったが、試合としては少し冗漫になってしまったが、それ以上に若手がしっかりと足跡を残しただ第2戦には意味があった。

投の堀、打の松本と上林らは2年後を見据える。

「19歳でこのマウンドに立てたのは、自分にとっていい経験になります」

 こう語ったのは第2戦で3番手として2イニングをパーフェクトに抑えた左腕の堀だった。

 堀は昨年のアジアプロ野球チャンピオンシップにも招集されて、初戦の韓国戦では延長10回のタイブレークで2死一、二塁から火消し役としての登板なども経験して、今回が連続での代表入りだ。

「今回は緊張せずに集中することができたのが良かった。コースにしっかり請求できていましたし、シーズンで結果を残して、また次も選んでもらえるようにしたい」

 本人がこう語ったように、稲葉監督にとっても2年後に向けて期待の大きい選手の一人であることは間違いない。

 一方、打線でも昨年のアジアプロ野球チャンピオンシップに続けて招集された松本と上林がトップチームでも気後れすることなく結果を残して初陣を飾った。

「代表でもチームでも自分が生き残る道を考えたい。2番なので(2本の)安打より、最初の2打席が良かったと思っている」

 こう語る松本は1回に先頭の秋山が出塁すると、すかさず送りバントを決めてそれが敵失を誘って一気にチャンスを広げ、第2打席では無死二、三塁から手堅く右犠飛で追加点を奪うバッティングを見せた。

すでに五輪を強く意識してプレーする選手達。

 12球団の主力とスター選手が揃う代表だが、全員が3番や4番ではチームとしてのつながりを失う。

 それだけに振り回すだけではなく、安打を打ててなおかつ、必要なときにはつなげる打者をいかに見出していくか。

「バントや進塁打など、このメンバーの中でも役割を理解している。チームに帰っても続けられれば、ジャパンでのつながりを求める場面で必要な選手になる」

 稲葉監督の松本評だ。

 一方、第2戦では不発のクリーンアップを救ったのが野手最年少の22歳、上林だった。

 初回の2死満塁では必死に走って投前適時打で1点を奪うと、9回には左中間を破る二塁打でパワーも見せつけた。打撃フォームが似ていることから“稲葉二世”と呼ばれる監督の秘蔵っ子も、2年後の侍の中心へとイメージを膨らませる素材であることは間違いない。

「コメントを聞いていますと、選手が『オリンピックに向けて』とみんな言ってくれていますので、少しずつそういう意識を持ってくれているのかなと感じています。すごくいいことだと思っています」

 開幕直前にフル代表の試合を組むことには賛否がある。ただ、これだけのファンが集まり、そして選手の視線の先には2020年の東京五輪でのメダルが見据えられている。

 2年後のチームのイメージが作れたことに、この2試合の意味は十分にあった。

[ワシントン 5日 ロイター] - トランプ米大統領が導入を計画する鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に反対する米国内の自動車メーカーや業界団体などは5日、連邦議会に計画の阻止を求めるロビー活動を活発化させた。

米企業・業界団体、議会に鉄鋼アルミ輸入制限の阻止訴える © REUTERS 米企業・業界団体、議会に鉄鋼アルミ輸入制限の阻止訴える

業界側は、共和党議員らが従来の自由貿易支持の立場を維持し、立法によって関税の導入を阻止することに期待している。

これを受けて議会では、今月予定される予算法案に、政権が関税を発動する権限を制限する文言を盛り込むことが提案される可能性がある。多くの共和党議員は既に、輸入関税に関する公聴会を開くよう呼び掛けるか、政権側に関税の適用範囲を限定するよう求めている。

トランプ大統領や政権の通商担当責任者らは週末に、関税適用方針を堅持する姿勢を示した。一方、ライアン下院議長をはじめとする共和党幹部らは輸入制限を控えるよう呼び掛けた。

トヨタ自動車(7203.T)やホンダ(7267.T)などが加入する世界自動車メーカー協会のジョン・ボゼラ最高経営責任者(CEO)は、政権や議会、全国の州議会に実情を訴えるために手を尽くす意向を示した。

政権側の当局者らは週末にテレビでのインタビューで、自動車業界への影響について、関税適用による1台当たりの値上げ幅は最大約200ドルにとどまる見通しで、平均3万5000ドルの販売価格のほんの一部だと強調。

ただ、ゴールドマン・サックスは、リサーチ・リポートで、関税を導入すればゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)とフォード・モーターの調整後営業利益がそれぞれ10億ドル押し下げられると予想した。

米国際自動車ディーラー協会のコーディー・ラスクCEOは、自動車市場が伸び悩むなか、貿易戦争や関税に関するニュースは米国民に新車購入の先延ばしを促すことになると警告。「実情を知ってもらうため、誰もが議会の協力者に働き掛けている」と述べた。

小麦やトウモロコシ、大豆の生産者で構成される農業団体もまた、輸入関税適用方針を批判。農業団体は2016年の大統領選でトランプ氏の主要な支持グループだった。

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米マイクロソフト、政府機関向けクラウドサービスを強化 © REUTERS 米マイクロソフト、政府機関向けクラウドサービスを強化

[サンフランシスコ 5日 ロイター] - 米マイクロソフト(MSFT.O)は5日、クラウドサービス「アジュール」の機能を改善し、連邦政府や地方政府などの顧客の利便性を高めると発表した。アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)との競争激化に対応する。

サーバーなどのシステムを使用者が管理する施設内に設置して運用するオンプレミス型のサービス「アジュール・スタック」と、政府機関向けサービス「アジュール・ガバメント」を統合。今年半ばからサービス提供を開始する。軍事作戦や在外公館などオンプレミス型サーバーが欠かせない政府機関への売り込みを図る。

調査会社カナリスのまとめによると、クラウド・コンピューティングの市場規模は今年は昨年比36%増の747億ドルに拡大する見通し。